【相談のきっかけ】地元金融機関からの課題指摘。在庫や原価管理の改善策を求めて
同社は、リーマンショックによる受注減少と、技術者の定年退職により、事業の縮小を余儀なくされた。経営の立て直しを図るべく地元金融機関に経営相談をした際、消耗品などの在庫管理や原価管理、受注単価設定のルールが未整備であるとの指摘を受けた。課題解決に向け、問題点の整理や改善支援の相談先として当拠点を紹介された。
【現状分析・課題設定】複数ある課題の優先順位づけ。コストの適正化とムダ排除へ
同社の経営陣は、「ツール管理の未整備によるコスト増」「原価・見積や単価設定の基準の未整備」といった課題を認識していた。しかし、若手社員の採用と新たな生産機械の導入を進める必要があり、業務改善に割く時間が十分に取れない。COは、日々の業務のなかで改善を進められるように、まずは消耗工具費の適正化とモノを探すムダを排除するための”5S”に着手し、その後、原価・見積の基準づくりに取り組むように助言した。
【提案・実行支援】ツール管理のため”5S”から着手。限界利益の把握を支援
第一ステップとして、工場内に分散している切削用刃物の棚卸しと、一括管理による在庫把握を実施した。不要物の撤去・廃棄にも着手し、各作業エリアの動線改善として治具棚の配置換えや切削屑の飛散対策などに取り組んだ。また、第二ステップとして、限界利益を明確にするため、固定費と変動費の区分けと把握を進め、この進捗に合わせて、原価・見積の基準づくりを支援した。
【支援成果と今後の展望】在庫量の把握でコスト削減を実現。月次計画を立て、継続した改善へ
”5S”の推進により消耗工具の在庫量をすぐに把握できるようになり、過剰な発注が不要になり、経費を削減することができた。加工作業の必需品を探すムダな時間も削減され、生産性も向上した。また、固定費・変動費・限界利益の把握により、見積も適正化された。その結果、コロナ禍で一時は受注が低迷したものの、売上も回復するとともに、資金繰りも安定した。
~支援のポイント~
工場の現状を理解しながら、同じ目線で課題を認識し、改善後の目指す姿やイメージを共有化することを大事にしています。業務内で改善を実施するため、取組ステップやスケジュールは同社が立案する流れとし、そのなかで助言や提案を行いました。