【企業の現状及び支援の経緯】
当社は、長らく赤字が連続しており債務超過の状態が続いていた。このため地元金融機関の支援の下で経営改善を検討する中、コスト面の把握ができていないことが判明し、よろず支援拠点に支援を要請した。
事業は、製造工場を持ち、卸売販売を実施。これまで多品種少量の生産に徹してきている。主な取引先は、大手スーパー・問屋が8割、OEM生産・プライベートブランドとして農園などからの瓶詰商品の委託製造(開発を含む)が2割となっている。
過去に設定した価格をそのまま踏襲してきており、商品ごとの損益が分からない状況にあった。原価を設定し、主力商品について損益を明確にする原価管理を行うことが当面の課題である。なお、赤字商品については損益改善の対応策が必要となる。
【実施した支援内容】
1 原価管理
製造原価の基礎データを設定した上で、年間出荷上位20品目を抽出して原価を算定、仕切り価格と比較検証した。その結果、黒字と赤字が半数ずつ、売れ筋NO.1の主力商品を除くと黒字でも利幅が小さく、総額では赤字となることが裏付けされた。赤字商品のうち、スーパー・問屋向けは、値上げが困難なため、瓶の形状・名称を変えてモデルチェンジを行うよう助言した。OEM・PBは交渉の余地があり、値上げ交渉を行うと同時に、最小ロットの限度を指定して生産性を上げる取組みを支援した。
2 生産能力の向上
対策として次の2点を提案した。①ボトルネックとなっている工程への設備投資と、ライン増化による生産能力の増強 ②生産計画をきめ細かく立案し、小ロット→中ロット化した上、見える化して生産効率を上げると共に、納期対応力を向上させる。
【支援の結果及び今後の展開等】
支援の結果、直近期の決算では初めての黒字となった。現在、コロナの影響により月次売上高は先期の9割前後となっているものの、月次での黒字化を確保する状況にある。黒字体質を固めていくためには、今後、生産能力向上のための改善を進めていく必要がある。